社労士の平均年収は統計上1,000万円を超えますが、実態は働き方によって大きく異なります。この記事では、開業・勤務それぞれの収入の実態と、男女別・年代別の傾向、年収が高い理由を解説します。
平均年収は約1,134万円。ただし数字の読み方に注意
厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査から算出すると、社労士の平均年収は約1,134.6万円です。民間給与所得者の平均478万円(国税庁調査)を大きく上回り、収入面で魅力のある資格といえます。
ただし2点、注意が必要です。第一に、この統計の区分には社労士のほか経営コンサルタントや証券アナリストなども含まれており、社労士だけの純粋な数字ではありません。第二に、平均値は一部の高収入層に引き上げられやすく、実態の分布を見ると収入には大きな個人差があります。「資格を取れば1,000万円」ではなく、働き方と努力次第の資格だと捉えるのが正確です。
開業社労士の収入実態:中央値550万円、上は青天井
社労士全体の約6割を占めるのが、独立して事務所を構える開業社労士です。2024年度社労士実態調査による年間売上(収入)の分布は以下のとおりです。
| 年間売上 | 割合 |
| 500万円未満(収入なし含む) | 42.8% |
| 500万〜1,000万円未満 | 17.7% |
| 1,000万〜2,000万円未満 | 14.5% |
| 2,000万円以上 | 19.3% |
売上の平均は約1,658万円ですが、中央値は550万円。500万円未満がもっとも多い一方で、1,000万円以上も3割を超え、1億円以上も2.2%存在します。まさに実力と経営次第の世界です。顧問契約を複数抱えれば安定した顧問料収入が見込め、資格に定年がないため90歳を超えて現役の人もいます。
勤務社労士の収入実態:300万〜600万円が最多層
企業や社労士事務所に勤める勤務社労士の年収分布は以下のとおりです。
| 年収 | 割合 |
| 300万円未満(収入なし含む) | 20.3% |
| 300万〜600万円未満 | 38.0% |
| 600万〜900万円未満 | 25.0% |
| 900万円以上 | 16.5% |
もっとも多いのは300万〜600万円未満の層で、次いで600万〜900万円未満です。働き方は一般の会社員と変わらず、大幅な収入増は見込みにくい代わりに安定しています。開業には経営に失敗するリスクもあるため、安定志向の人には勤務が向いているでしょう。
男女別の年収:400万円超の差がある
令和7年賃金構造基本統計調査によると、男性の平均年収は1,249万円、女性は840万円と、400万円以上の差があります。また経験年数別に見ると、男女とも経験を積むほど年収が上がっていく傾向があります。
この格差は社労士に限った話ではなく、日本全体で女性の平均賃金は男性の7割弱にとどまるとされており、その傾向が反映されたものと見られます。なお、令和6年度試験の合格者に占める女性の割合は38.9%と、士業の中では女性の活躍が目立つ資格です。子育てと両立しやすく、女性のキャリアの選択肢になりやすい仕事といえるでしょう。
年代別の年収:ピークは40〜50代
年代別に見ると、社労士の年収は年齢を重ねるにつれて高くなる傾向があり、40〜50代でピークを迎えます。その後は定年を迎える年齢にかけて、労働量の減少とともに緩やかに下がっていく構図です。経験と人脈が収入に結びつく仕事のため、キャリアの積み重ねがそのまま年収に反映されやすいといえます。
社労士の年収が高い3つの理由
社会的な役割が大きく、ニーズが高い
働き方改革の推進や労働環境の見直しで、企業が労務管理を強化する場面は増えています。在宅勤務やフレックス制など働き方が多様化し、人材確保の難しさも課題となる中、企業はより適切な労務管理を迫られています。新制度の導入に伴うトラブルを回避したい企業、特に中小企業を中心に社労士への相談は増加しており、この社会的需要の高まりが収入水準を押し上げています。
高度な専門性が付加価値になる
社労士として働くには、労働基準法・労働契約法・社会保険関連法など幅広い法律知識が必要です。しかも労働法や社会保険制度はほぼ毎年のように改正されるため、常に最新の法令を踏まえて手続きや助言を行わなくてはなりません。この高度な専門性がそのまま付加価値となり、市場での希少性が収入の高さにつながっています。
独立すれば努力に比例して収入を伸ばせる
独立開業すれば、営業力や人脈によって収入を大きく伸ばせます。顧問契約の獲得や大規模な手続き業務の受注で、年収が飛躍的に増えるケースも珍しくありません。中小企業では自社で人事担当者を雇うより外部の社労士に依頼した方がコストを抑えられる場合が多く、安定した需要があります。また独立した社労士には定年がなく、年齢を重ねても自分のペースで収入を確保しやすい点も強みです。
まとめ
📝 社労士の年収まとめ
・統計上の平均年収は約1,134万円だが、収入の個人差は大きい
・開業社労士は中央値550万円、1,000万円超も3割の実力主義
・勤務社労士は300万〜600万円が最多層で安定型
・年収のピークは40〜50代。需要の高まりと専門性が高収入の背景
「社労士は稼げない」という声の背景には、開業社労士の収入差の大きさがあります。裏を返せば、努力次第で収入を伸ばせる資格ということ。目指す働き方をイメージしながら、合格への一歩を踏み出してみてください。
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