特定行政書士とは?行政書士との違い・なり方・費用対効果を解説

特定行政書士とは、行政不服申し立ての代理権が認められた行政書士のことです。この記事では、通常の行政書士との違い、なり方と費用、目指す価値があるかどうかを解説します。

目次

特定行政書士とは?通常の行政書士との違い

特定行政書士は、行政書士のうち特別な研修を受けて考査に合格した人に与えられる資格です。「特定」という名称から業務が限定されるように誤解されがちですが、実際は逆で、通常の行政書士業務すべてに加えて、特定行政書士にしかできない業務が上乗せされます。

その独占業務が「行政不服審査法に基づく不服申し立ての代理」です。行政庁の違法・不当な処分に対して国民が不服を申し立てる手続きで、従来は本人か弁護士にしか認められていませんでしたが、平成26年の法改正で特定行政書士にも開放されました。具体的には以下の手続きが含まれます。

  • 審査請求:処分を行った行政庁とは別の行政庁に、処分の適法性・妥当性の審査を求める(原則、処分を知ってから3か月以内)
  • 再調査請求:処分を行った行政庁自身に、処分の見直しを求める
  • 再審査請求:審査請求が棄却された場合に、法律の定めがあるときに限り再審査を求める

たとえば、産業廃棄物処理業や飲食店営業の許可申請が、要件を満たしているはずなのに不許可になった場合の審査請求などが該当します。

注意点として、不服申し立てできるのは行政書士が作成した書類に係る処分に限られます。また訴訟の代理権はないため、裁判になる場合は弁護士への依頼が必要です。

この制度により、依頼者は許認可申請から不服申し立てまで一貫して行政書士に任せられるようになりました。従来のように「申請は行政書士、不服申し立ては弁護士」と分ける二度手間がなくなった点が、特定行政書士制度の存在意義です。

特定行政書士になるには?3ステップ

前提として行政書士であることが必要です。そのうえで、研修→考査→登録手続きの3ステップを踏みます。

ステップ1:法定研修を受講する(8万円・18時間)

特定行政書士法定研修は、日本行政書士会連合会のeラーニングで受講します。申し込み期間は例年4月下旬〜6月中旬、受講料はテキスト代込みで8万円です。講義は行政法総論から特定行政書士の倫理まで全18時間で、倍速再生はできず、約1か月半の受講期間内にすべて視聴する必要があります。

行政法関係は行政書士試験で学んだ内容が多い一方、もっともコマ数の多い「要件事実・事実認定論」(4時間)は裁判所の法的思考を学ぶ内容で、初めて触れる人が大半です。

ステップ2:考査に合格する(合格率7割弱)

研修修了者は、毎年10月実施の考査を受けられます。択一式30問で、例年6割(18問)程度の正答で合格、合格率は7割弱です。

「7割合格」と聞くと簡単そうですが、受験者は全員が行政書士試験の合格者です。その中で約3割が落ちる試験であり、しかも過去問・解答が公表されていないため過去問対策ができません。中央研修所サイトの問題演習と条文の暗記が主な対策になります。不合格の場合は翌年再受験でき、3年以内なら4万円で研修を再受講できます(4年目以降は新規扱いで8万円)。

ステップ3:登録手続きを行う

合格通知に同封される案内に従い、行政書士証票記載事項変更手続書と顔写真を行政書士会に提出すれば完了です。なお特定行政書士には、通常より一回り大きい専用バッジが付与されます。

特定行政書士は意味ない?費用対効果で考える

得られるもの

  • 顧客への安心感:いざというとき不服申し立てまで対応できるため依頼されやすくなり、仕事量の増加につながる
  • 高めの報酬水準:対応できる行政書士が少なく、不服申し立ての報酬は着手金・成功報酬とも15万円以上程度が相場
  • 希少性と信頼:人数が少ないため箔がつき、士業同士でも一目置かれ、他士業からの紹介が増える可能性がある
  • 新たな知識と活躍の場:事実認定論など弁護士領域の思考法を学べ、行政不服審査会の委員・審理員として活動する道もある

かかるコストと注意点

明確なデメリットはありませんが、受講料8万円と18時間の講義は、働きながらでは軽くない負担です。また、行政不服申し立て自体は実際に発生するケースが多くないため、「資格を取れば仕事が倍増する」といった過度な期待は禁物です。あくまで信頼と業務の幅を広げる投資と捉えましょう。

まとめ

📝 特定行政書士まとめ
・特定行政書士は行政不服申し立ての代理ができる行政書士
・なるには研修(8万円・18時間)→考査(合格率7割弱)→登録の3ステップ
・仕事が急増するものではないが、信頼・報酬・業務の幅を広げられる
・目指すかどうかは行政書士になってから考えればOK

特定行政書士は必ず取るべき資格ではありませんが、専門性を高めたい人には価値のある選択肢です。まずは行政書士試験の合格に集中し、実務を始めてから検討してみてください。

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