こんにちは、まさちゃんです。
今回は公務員の福利厚生について、元公務員の僕の体験談も交えながら、実態を詳しく解説していきます。
手当や休暇制度、年金・保険制度など、公務員ならではの福利厚生について、気になっている方は多いのではないでしょうか。
- 公務員の福利厚生は充実しているって聞くけど本当なの?
- 制度が整っているだけで、実際は利用しづらい環境だったりしない?
こういった疑問を解消していきます。
公務員の働き方の実態や、制度の実際の使い勝手なども含めて、リアルな情報をお届けしますので、ぜひ最後までご覧ください。
公務員の手当

まずは、公務員の「手当」について解説していきます。
公務員の給与は基本給と様々な手当で構成されています。
いくつか例を挙げて解説していきますね。
地域手当
地域手当は、首都圏や都市部などの、物価が高い地域で勤務する公務員に支給される手当のことです。
基本給などに、地域ごとに決められた割合をかけて、金額が決まります。
例えば東京23区内だと、20%という割合が設定されています。
基本給が20万円であれば、4万円が地域手当として上乗せされるということになります。
かなり大きい額ですよね。
東京は物価も高いですし、家賃も高額ですから。
このくらいの上乗せがないと不公平になってしまうので、地域手当で調整しているということです。
こんな感じで物価が高い地域ほど地域手当の割合が高く設定されています。
大阪市や横浜市だと16%、さいたま市や千葉市、名古屋市だと15%などです。
この地域手当のおかげで、同じ公務員でも都市部で働くと年収が高くなる傾向があります。
期末手当、勤勉手当
次に、「期末手当」と「勤勉手当」です。
民間企業でいうところのボーナスにあたるものです。
公務員の場合は「期末手当」と「勤勉手当」の2つに分かれていて、その合計金額がボーナスとして支給される形になっています。
夏は6月、冬は12月に支給されます。
気になる支給額ですが、令和6年度の人事院勧告により、夏冬合わせて4.6ヶ月分となりました。
月給が20万円だったとすると、夏冬合計で92万円のボーナスがもらえたということになります。
かなりたくさんもらっている印象ですね。
とはいえこの金額は、民間企業のボーナス水準をもとに決められています。
民間企業だと夏か冬、一発で100万オーバーのボーナスがもらえるとか、ありますからね。
そういった企業も含めた平均値が、公務員のボーナスということです。
ちなみに令和5年度が4.5ヶ月、令和4年度が4.4ヶ月だったので、支給額は徐々に上がってきています。
超過勤務手当
続いて超過勤務手当です。
これはいわゆる残業代のことですね。
公務員ももちろん残業したらその分は残業代が出ます。
深掘って説明するまでもないですね。
次行きます。
扶養手当
続いては扶養手当です。
これは配偶者、子、父母など扶養家族がいる場合に支給される手当です。
金額は自治体によって異なりますが、配偶者がいる場合は月額約13,000円、子供一人当たり約6,500円〜10,000円程度が一般的です。
注目点として、この扶養手当ですが、配偶者に関する部分は2025年から2026年度にかけて段階的に廃止される予定となっています。
その代わりに子供の扶養手当が増額される予定です。
国の政策として、子育て世帯への支援強化という方向性が現れている形ですね。
住居手当
次は住居手当です。
いわゆる家賃補助ですね。
賃貸住宅に住んでいる場合に支給されるケースが多いですが、自治体によっては持ち家でも支給される場合があります。
例えば国家公務員の場合だと月額16,000円を超える家賃を支払っている場合に、28,000円を上限に支給されます。
詳しい計算方法まで説明するとややこしくなるので割愛しますが、ざっくりの金額感としてはこんな感じです。
- 月額家賃40,000円→17,500円
- 月額家賃50,000円→22,500円
- 月額家賃60,000円→27,500円
- 月額家賃70,000円→28,000円
家賃の半分よりちょっと少ないくらいの金額の住居手当が支給されて、61,000円の家賃で上限の28,000円に到達します。
それ以上の家賃のところに住む場合は全て自己負担になるので、都市部に住む場合には注意してください。
通勤手当
通勤手当は、通勤のために公共交通機関や自動車を利用する職員に支給される手当です。
公共交通機関を利用する場合は、上限が設定されていることも多いですが、基本的に定期券相当額が支給されます。
車通勤の場合は距離に応じた金額が支給されることが多いです。
とはいえ車通勤の場合、かなり低めの金額に設定されているため、実際には「全然足りない」という声もよく聞きます。
ガソリン代も上がってますからね。
必ずしも全額支給されることにはならない点は、注意してください。
退職手当
最後に、退職手当です。
これは公務員が退職する時に一時金として支給されるもので、いわゆる「退職金」にあたります。
公務員は退職金についてもかなり恵まれている印象がありますよね。
実際の金額を見ていきましょう。

こちらは令和5年度に支払われた国家公務員の退職金のデータです。
当たり前ですが勤続年数が長くなるにつれて退職手当の金額も大きくなります。
注目して欲しいのは定年退職のところで、30年以上勤め上げると、2,000万円を超える退職金が支払われています。
老後2,000万円問題という言葉がありましたが、しっかり勤め上げた公務員ならこれ一発で解消できますね。
ちなみにこの金額は、民間の大企業の平均と同じくらいの金額です。
かなり恵まれた金額といえますね。
その他の手当
ここまで、多くの方に関係してきそうな手当についてを中心に紹介してきました。
この他にもたくさんの手当があるので、簡単に紹介します。
- 「特殊勤務手当」
→危険な現場での作業を行ったときに支給される手当です。 - 「俸給の特別調整額」
→管理職についている職員に支給される手当です。 - 「寒冷地手当」
→寒い地域で勤務する場合に支給される手当です。 - 「特地勤務手当」
→離島などの生活が著しく不便な場所で勤務する場合に支給される手当です。 - 「本府省業務調整手当」
→国家公務員で霞ヶ関の本省で勤務する場合に支給される手当です。 - 「広域異動手当」
→遠方への異動の際に支給される手当です。 - 「単身赴任手当」
→異動等でやむを得ず単身で生活する場合に支給される手当です。
この他にも様々な手当がありますが、多くの方に関係してくるのはこの辺りかなと思います。
公務員の休暇制度

続いて、公務員の休暇制度について解説します。
公務員の福利厚生の中でも、この休暇制度は大きな魅力です。
かなりたくさんの休暇制度があるので、多くの方に関係ありあそうなものをいくつか紹介していきますね。
年間休日
まずは年間休日についてです。
公務員の年間休日は土日、祝日、夏季休暇、年末年始を合わせて125日ほどあります。
これは民間企業の平均より10日ほど多い日数です。
例えば僕が以前勤めていたところだと、土日祝日の他に、夏季休暇が3日、年末年始休暇が12月29日〜1月3日までの6日ありました。
これに加えて有給休暇もあるため、休みの日数としてはかなり充実していました。
さらに注目すべき点として、2025年4月から週休三日制を徐々に拡大する動きもあります。
ついに公務員にも週休3日の時代がきました。
一週間の総労働時間を満たせば、土日の他に、平日に1日休んでもいいですよ、という内容です。
すでに一部の自治体では試験的に導入が始まっていて、ワークライフバランスの向上が期待されています。
休日が増えれば、旅行や家族との時間が確保しやすくなります。
自己啓発の時間も取れます。
より働きやすい環境が整ってきたと言っていいでしょう。
有給休暇
次は有給休暇についてです。
国家公務員の場合、1月1日に20日分の有給休暇が付与されます。
地方公務員も同様の日数が基本となっています。
特筆すべき点は、民間企業では有給休暇の付与に勤続半年以上という条件があることが多いですが、公務員の場合は4月1日に勤務を開始した時点で15日分が付与されるという点です。
つまり、4月に勤務し始めていきなり有給が使えるということです。
実際に僕も、上司から計画的に有給を取るように言われて、入って早々4月中に有給を取得しました。
4月って色々と忙しい時期ですからね。
新しい環境に変わって、体調を崩しやすい時期でもあります。
そんなタイミングで有給が使える環境が整っているのは、めちゃくちゃありがたいです。
また、有給休暇の取得率も民間企業と比べて高い傾向にあります。
職場環境にもよりますが、多くの公務員職場では休みを取りやすい雰囲気があります。
僕は4つの部署を経験しましたが、どの部署でも上司からは「有給は計画的に使うように」と言われていました。
有給を取得するのは当たり前、という雰囲気で、特に取得理由なども聞かれずに普通に休めます。
半日単位や時間単位での取得も可能なので、柔軟に利用できる点も嬉しいところです。
夏季休暇
続いて夏季休暇についても解説していきます。
民間企業だとお盆休みがあるところも多いですが、公務員にはありません。
その代わりなるのが夏季休暇です。
国家公務員は3日間、地方公務員は5日間付与されるところが多いです。
基本的に7月〜9月の間の自分の休みたいタイミングで取得することが可能です。
子供の夏休みに合わせて8月に取得する方もいれば、お盆休みに合わせて取る方もいます。
あえて夏休み期間中を外して、9月に混雑を避けてゆったり旅行に行く使い方もできます。
有給や土日と繋げれば結構大型連休にできるので、有意義なリフレッシュ期間にできます。
病気休暇
続いて病気休暇です。
病気休暇は、けがや病気で療養する必要がある場合に取得できる休暇です。
国家公務員は原則90日以内で使用することができます。
地方公務員もこの法律を基準に病気休暇や療養休暇が定められています。
中には給与が半額になるものの、90日を超えても休暇を継続できる自治体もあります。
その辺りは自分が受験を考えている自治体のHPなどで、確認してみてだください。
民間企業では病気の際に有給休暇を使うことも多いかと思いますが、公務員の場合は病気休暇という別枠があるため、有給休暇を温存できるというメリットがあります。
育児休業
続いて育児休業について解説します。
育児休業は、子どもを育てるために一定期間仕事を休むことができる制度です。
法律で決まっている制度なので、民間企業も同じ内容ですが、公務員の良いところは育児休業の取りやすさです。
というのも、民間企業と比較して、公務員の育休取得率は高い傾向にあります。
内閣人事局が発表したデータによると、令和5年度の国家公務員一般職の育休取得状況は女性で104.8%、男性で79.1%だったとのこと。
女性の数字が100%を超えているのは、前年度に子どもが生まれて、翌年度に育休を取得した方がいるためです。
かなり高い数字ですよね。
特に男性の取得率の高さに驚かれた方は多いのではないでしょうか。
実際、僕が働いていた職場では、育休を取得するのは当たり前という雰囲気がありました。
女性はもちろん、男性の育休に関してもです。
僕の部署でも、男性職員が複数名、育休を取得していました。
周囲も特に驚くことなく受け入れていて、「子どもが小さいうちに育児に参加できるのはいいよね」という前向きな反応が多かったです。
仕事も上手く分担し、計画的に業務を回していました。
育児に積極的に関わりたい男性にとっては、取得しやすい環境が整っている点は大きなメリットですね。
女性にとっても、大変な時期に男性が育児参加できる制度が整っているというのは、嬉しい制度なのではないでしょうか。
子の看護等休暇
最後は子の看護等休暇について説明していきます。
子の看護休暇は、子供が病気になったときなどに取得できる休暇で、基本的に小学校就学前の子1人につき年間5日以内で取得できます。
対象年齢の子が2人以上いる場合は10日取得できます。
子育て世代にとってはめちゃくちゃありがたい制度ですね。
子育てをしながら働く環境としては、民間企業と比べても充実していると言えるでしょう。
なお、この「子の看護休暇」は令和7年4月から「子の看護等休暇」という名称に見直されます。


対象となる子の範囲が小学校3年生修了までに延長、さらに入園式や卒園式、入学式などのイベント事でも使えるようになります。
学級閉鎖等でも使えるので、さらに充実した制度になります。
これは素晴らしい変更ですね。
その他の休暇制度
これら以外にも、産前産後休暇、介護休暇、男性の育児参加休暇など、様々な休暇制度があります。
特に育児関連の制度は充実しており、女性の産前産後休暇は産前6週間、産後8週間、男性も5日間の育児参加休暇が取得できます。
先ほど育児休業の取りやすさについて説明しましたが、この点はとても充実していると言えますね。
公務員の年金・保険制度

続いて、公務員の年金と保険についてです。
この辺りは内容が複雑なので、簡単に触れる程度で説明しますね。
公務員の年金制度
まず公務員の年金制度についてです。
年金とは、簡単に言えば「老後のための積立貯金」のようなものです。
現役中に保険料を払い、退職後に年金として受け取ります。
公務員も民間企業の社員も、今は同じ「厚生年金」という制度に加入しています。
以前は公務員だけ「共済年金」という別制度だったんですけどね。
これがかなり優遇されている制度だったため、不公平だということで、2015年に厚生年金に一元化されました。
というわけで年金制度については、基本的に民間企業と同じです。
残念ながら公務員の優遇は無くなりました。
強いて公務員のメリットを挙げるなら、公務員には「年金払い退職給付」という上乗せ制度があることですかね。
これは民間企業で言うところの「企業年金」に相当するものです。
民間企業の場合は企業年金があるかないか、あったとしてもその内容は会社によって大きく異なります。
公務員の場合はほぼ全員が同じ条件で上乗せ制度を利用できるので、この点はメリットと言えるかもしれませんね。
公務員の健康保険
次に健康保険についてです。
健康保険は、病気やケガをしたときの医療費を補助してくれる制度です。
国民皆保険制度により、日本に住む人は何らかの健康保険に加入することになっています。
公務員は「共済組合」という組織が運営する健康保険に加入します。
保険料が給料から天引きされますが、病院での自己負担は3割になります。
この辺りは民間企業と同じです。
公務員のメリットとしては、共済組合が提携している保養所や宿泊施設を安く利用できる点ですかね。
JR料金の割引が受けられたり、旅行会社のツアーの割引が受けられたりもします。
人間ドックの受診料の補助も受けられます。
まあとは言えこの辺りは、民間企業の「健康保険組合」や「協会けんぽ」も充実している部分ではあります。
公務員ならではのメリットとは言いづらいところですが、民間企業同様に公務員も充実したサービスが受けられますよ、と言うことだけ知っておいていただければ良いかなと思います。
その他の福利厚生

最後に、ここまで紹介してきた以外の公務員ならではの福利厚生について紹介していきます。
ぜひ参考にしてみてください。
福利厚生代行サービス
多くの自治体や官公庁では、最近になって「ベネフィットワン」が提供する「ベネフィットステーション」や「リロクラブ」が提供する「福利厚生倶楽部」といった民間の福利厚生サービスと契約しています。
これらのサービスは幅広い特典が利用できるのが特徴です。
公務員が直接会費を支払うケースもありますが、多くの場合は所属組織が費用を負担しているので、職員は無料で利用できることが多いです。
「ベネフィットステーション」を例に挙げると、サービス数は140万件以上で、次のようなものがあります。
- 旅行・宿泊施設が割引価格で利用可能
- レジャー施設の割引や優待チケット
- 映画館の鑑賞券が割引価格で購入可能
- 全国のレストランでの優待価格での食事
- ジム・フィットネスクラブの優待利用
- スキルアップ講座の割引
日常的に使えば、年間で10万円以上のお得感を得られることもあります。
給料以外の「隠れた報酬」として、こうしたサービスが受けられることも魅力の1つと言えるでしょう。
公務員宿舎
次に「公務員宿舎」についてです。
全ての公務員が入居できるわけではありませんが、条件を満たせば利用できる制度です。
こちらの画像を見ていただくとわかりますが、家賃はかなり安いです。

家賃が安すぎるとの指摘を受け、平成30年に家賃が引き上げられましたが、それでもかなり安いですね。
地方の宿舎だと独身で新築に住んだ場合でも1万円を切ります。
綺麗さについては築年数にもよりますが、汚いところは本当に汚いのでご注意ください。
僕が同僚から聞いた範囲でも、以下のような宿舎があるとの話を聞いてます。
- 近くに魚の不要部分が廃棄される場所があり、毎日ハエとの戦いがある宿舎。
- 日当たりが悪く湿度が恐ろしいほど高いので、玄関がカビだらけになり、除湿機購入がマストの宿舎。
綺麗な宿舎もありますが、必ずしもそんなところばかりではないということをお伝えしておきたいです。
それから公務員宿舎はどんどん減らされており、入りたくても入れない新人公務員もいます。
入れたらラッキー、くらいに考えておいた方がいいかもしれませんね。
職員食堂
職員食堂も公務員の福利厚生の1つです。
全ての職場にあるわけではありませんが、大きな庁舎や官公庁には設置されていることが多いです。
農林水産省の食堂とか、結構有名ですよね。
民間企業の社員食堂と同様、通常より安い価格で食事ができます。
僕が利用していた食堂では、日替わり定食が600円程度でした。
都内勤務だったので、普通に外食すると1,000円近くかかってしまうことを考えると、ありがたかったですね。
まあ味の方は…
公務員の福利厚生は本当に良い?

ここまで紹介してきた通り、公務員の待遇が恵まれている部分は確かにありますね。
大企業と比べるとボーナスや退職金は同程度。中小企業と比べると確かに手厚い。休暇制度の充実度や育休の取りやすさは、民間より恵まれている部分が多いです。
ですがこれらを「良い」と捉えるかどうかは、世の中の景気次第の面もあります。
景気が良いときは、民間企業も待遇が良くなりますからね。
つまり以下です。
- 景気が良い
→公務員は安月給でかわいそう - 景気が悪い
→公務員は恵まれすぎててずるい
景気がいいときは安月給と言われ、景気が悪くなるとずるいと言われるのが公務員です。
とはいえ公務員の待遇が安定しているのは間違いないですね。
個人的には福利厚生は「良い」と言って問題ないと思っています。
安定した環境を求める方には、公務員は魅力的な選択肢です。
まとめ
ということで今回は、公務員の福利厚生についてお話してきました。
公務員の福利厚生がどれだけ充実しているか、お分かりいただけたのではないでしょうか。
ものによっては、民間企業より良いなと思う部分があったかもしれません。
福利厚生の整ったところで働きたいという方は、公務員も視野にいれてみてください。
このブログには、他にも公務員関連の記事がたくさんあります。以下からどうぞ。



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