【公務員試験】裁判所事務官採用までの流れ【日程・科目・倍率・年齢制限など】

こんにちは、まさちゃんです!

いつも当ブログをご覧いただき、ありがとうございます。

今回は「裁判所事務官採用試験」について、試験日程や出題科目、過去の実施状況などを1記事にまとめています。

  • 裁判所事務官の採用までの流れが知りたい
  • 裁判所事務官の試験内容が知りたい
  • 裁判所事務官の過去の実施結果が知りたい

こういった疑問が解消できます。

簡単に自己紹介

  • この記事を書いている僕は、29歳のときに公務員試験に合格し、実際に5年間働きました。
  • そのときの経験をもとに記事を書いているので、これから受験する方々の参考になるようなリアルな情報をお伝えできるかと思います。

実際に公務員試験を受験し、内定をもらった経験をもとにこの記事を書いています。公務員試験については熟知している人間が書いた記事なので、内容は信頼していただいて大丈夫です。

それでは早速、内容に入っていきます。

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目次

裁判所事務官採用試験の概要

裁判所事務官は、その名のとおり裁判所で事務を担当する公務員のことです。

裁判所事務官になるためには、裁判所職員採用試験に合格する必要があります。この試験は大きく分けて「総合職試験」と「一般職試験」の2種類があります。

  • 総合職試験:政策の企画立案に係る高い能力を有するかどうかを重視して行う採用試験
  • 一般職試験:的確な事務処理に係る能力を有するかどうかを重視して行う採用試験

総合職試験に合格すると、裁判所の幹部候補生として採用されます。一方、一般職試験合格者は、裁判所で働く職員として採用されます。

ここからは、より志願者の多い「裁判所事務官・一般職」について、詳しく解説していきます。

試験日程

令和6年度(2024年度)の裁判所事務官一般職試験(大卒程度)の日程は以下の通りです。

裁判所事務官一般職日程
申込受付期間3月15日(金)10:00~4月8日(月)【受信有効】
第1次試験日5月11日(土)
第1次試験合格発表5月30日(木)
第2次試験日[専門試験(記述式・憲法)、論文試験(小論文)]
5月11日(土) 1次試験同日に実施
[人物試験(個別面接)]
6月10日(月)~7月8日(月)
最終合格発表7月31日(水)

受験申込の締め切りは4月8日です。インターネットで行うので、通信環境などの予期せぬ不具合がある可能性を考えると、締め切り間際に申し込むのは危険ですね。余裕を持って早めに申し込むようにしましょう。

1次試験は5月11日に行われ、最終合格発表は7月31日となっています。

また、2次試験の人物試験(個別面接)は約1ヶ月の期間が設けられています。この期間内に指定された日時で面接を受けることになります。

受験資格

裁判所事務官一般職試験(大卒程度)の受験資格は以下の通りです。

  1. 1994(平成6)年4月2日~2003(平成15)年4月1日生まれの者
  2. 2003(平成15)年4月2日以降に生まれた者で次に掲げるもの
    (1) 大学を卒業した者及び2025(令和7)年3月までに大学を卒業する見込みの者並びに人事院がこれらの者と同等の資格があると認める者
    (2) 短期大学又は高等専門学校を卒業した者及び2025(令和7)年3月までに短期大学又は高等専門学校を卒業する見込みの者並びに人事院がこれらの者と同等の資格があると認める者

つまり、30歳までの方が受験できます。学歴要件については、大学卒業(見込み)者だけでなく、短大・高専卒業(見込み)者も受験可能です。

ただし、日本国籍を有しない者や、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまでまたは執行を受けることがなくなるまでの者などは受験できません。

採用予定数

令和6年度(2024年度)の裁判所事務官一般職試験(大卒程度)の採用予定数は以下の通りです。

管轄高等裁判所採用予定数
札幌高等裁判所の管轄区域15人程度
仙台高等裁判所の管轄区域25人程度
東京高等裁判所の管轄区域140人程度
名古屋高等裁判所の管轄区域25人程度
大阪高等裁判所の管轄区域65人程度
広島高等裁判所の管轄区域30人程度
高松高等裁判所の管轄区域15人程度
福岡高等裁判所の管轄区域60人程度
合計375人程度

採用予定数は全国で375人程度となっています。東京高裁管轄区域が140人程度と最も多く、次いで大阪高裁管轄区域が65人程度となっています。

試験内容

裁判所事務官一般職試験(大卒程度)の試験内容は以下の通りです。

試験試験種目内容
第1次試験基礎能力試験(多肢選択式)公務員として必要な基礎的な能力(知能及び知識)についての筆記試験
知能分野24題、知識分野6題
合計30題、2時間20分
第1次試験専門試験(多肢選択式)必要な専門的知識などについての筆記試験
必須:憲法7題,民法13題
選択:刑法又は経済理論10題
合計30題、1時間30分
第2次試験(1次試験日に実施)論文試験(小論文)文章による表現力,課題に関する理解力などについての論文による筆記試験
1題、1時間
第2次試験専門試験(記述式)裁判所事務官(大卒程度区分)に必要な専門的知識などについての筆記試験
憲法 1題、1時間
第2次試験人物試験人柄、資質、能力などについての個別面接

それぞれの試験について、もう少し詳しく説明していきます。

基礎能力試験

基礎能力試験は、公務員として必要な基礎的な能力を測る試験です。知能分野と知識分野に分かれています。

知能分野(24題)では、文章理解、判断推理、数的推理、資料解釈などの問題が出題されます。これらは、論理的思考力や理解力などを測る問題です。

知識分野(6題)では、自然・人文・社会に関する時事問題や情報に関する問題が出題されます。幅広い一般常識が問われます。

他の公務員試験で言うところの、「教養試験」に該当するものですね。

公務員試験の鬼門である数的処理系の科目もしっかり出題されるので、他の公務員試験同様に数的処理の出来が1次試験の合否を左右すると言えます。しっかり対策をしておきましょう。

はっきりとしたボーダーは不明ですが、教養試験同様に6割程度の得点をボーダーと考えておくといいでしょう。近年は倍率も下がってきているので、もう少し低くても通る可能性が高いですが、あくまでも目標は6割で。

専門試験(多肢選択式)

専門試験は、裁判所事務官として必要な専門的知識を問う試験です。

必須科目として憲法(7題)と民法(13題)が出題されます。選択科目として刑法または経済理論から10題を選択して解答します。どちらの科目を選択するかは、試験当日に問題を見てから決めることができます。

かなり幅広い分野から出題されるので、効率的に学習を進めていく必要がありますね。

専門試験のボーダーは7割くらいです。はっきりとした数字が示されているわけではありませんが、多くの予備校でも言われている数字なので、この数字を目指すといいでしょう。

論文試験(小論文)

論文試験は、文章による表現力や課題に関する理解力を見る試験です。与えられたテーマについて、1時間という短時間で論述します。文字数制限はありませんが、制限時間から考えると800字から1,200字程度が目安でしょう。

文章による表現力や、課題に対する理解力が問われます。

ここ数年は「チームワーク」や「人手不足」などの組織に関するテーマが出題されています。どんな課題があるか、どんな対策が考えられるか、それが組織にどんな良い影響をもたらすか、この辺りを論じていきます。一般的な公務員試験の論文対策をしておけば事足りるでしょう。

専門試験(記述式)

専門試験(記述式)は、憲法に関する記述式の問題が1題出題されます。法的な思考力や表現力が問われます。

記述とはいえ、内容は択一の専門試験と同じです。択一の対策をしっかりやって、ある程度仕上がったら過去問などを使って記述に落とし込む練習もしておきましょう。

※専門試験(記述式)は、令和7年度の試験より試験科目から除かれることが決まっています。

人物試験

人物試験は個別面接形式で行われます。面接官は通常3名で、約30分程度の面接です。

志望動機や自己PR、裁判所の業務に対する理解度、コミュニケーション能力などが評価されます。配点比率が最も高いので、しっかりと準備をしておくことが重要です。

配点

裁判所事務官一般職試験(大卒程度)の配点比率は以下の通りです。

試験種目配点比率
基礎能力試験2/10
専門試験(多肢選択式)2/10
論文試験(小論文)1/10
専門試験(記述式)1/10
人物試験4/10

人物試験(個別面接)の配点が4/10と最も高くなっています。筆記試験だけでなく、面接対策もしっかり行うことが重要です。

また、最終合格者が全ての試験の総合点の高い順に決まることを考えると、筆記試験でなるべく高得点を取っておくことが、面接で失敗したときに自分を救ってくれるかもしれません。

要は全ての試験の対策を満遍なくやっておきましょうということです。

過去の実施結果

過去3年間の裁判所事務官一般職試験(大卒程度)の実施結果は以下の通りです。

令和5年度(2023年度)

管轄高等裁判所申込者数受験者数1次合格者数2次受験者数最終合格者数倍率
札幌3602871211212.4
仙台6715292022022.6
東京4,3953,0981,0721,0722.9
名古屋1,1799141711715.3
大阪1,9441,5132942945.1
広島7816091491494.1
高松58646274746.2
福岡1,5531,1632682684.3
合計11,4698,5752,3512,3513.6

令和4年度(2022年度)

管轄高等裁判所申込者数受験者数1次合格者数2次受験者数最終合格者数倍率
札幌401329250237834.0
仙台6464963212811483.4
東京4,2993,0671,9241,8496284.9
名古屋1,2029824263911496.6
大阪2,0171,6066516252317.0
広島7656213633181364.6
高松524411211198805.1
福岡1,6001,2614253811339.5
合計11,4548,7734,5714,2801,5885.5

令和3年度(2021年度)

管轄高等裁判所申込者数受験者数1次合格者数2次受験者数最終合格者数倍率
札幌350267144134525.1
仙台5794322782631243.5
東京3,8702,8471,2551,2453518.1
名古屋1,1369153162841009.2
大阪1,7661,3405535362006.7
広島668531219214677.9
高松500388138119695.6
福岡1,4061,0823713241179.2
合計10,2757,8023,2743,1191,0807.2

過去3年間の結果を見ると、令和5年度は全体的に倍率が下がっていることがわかります。特に東京高裁管轄区域の倍率が2.9倍と、かなり低くなっています。

一方で、高松高裁管轄区域は6.2倍と比較的高い倍率になっています。地域によって倍率に差があるので、志望地域を決める際の参考にしてください。

全体的な傾向としては、年々倍率が下がってきているようです。令和3年度は7.2倍、令和4年度は5.5倍、令和5年度は3.6倍と、受験しやすくなってきていると言えるでしょう。

ただし、倍率が下がっているからといって、試験の難易度が下がっているわけではありません。しっかりと対策を行い、万全の準備で臨むことが大切です。

初任給と待遇

裁判所事務官(一般職・大卒程度)の初任給は、令和6年4月1日現在で以下の通りです。

  • 約235,440円(東京都特別区内勤務の場合)

これに加えて、以下のような手当が支給されます。

  • 期末・勤勉手当(ボーナス):年間4.5ヶ月分程度
  • 通勤手当:実費支給(上限あり)
  • 住居手当:最高28,000円
  • 扶養手当:配偶者6,500円など
  • 超過勤務手当

初任給は地域によって異なり、東京都特別区内勤務の場合が最も高くなっています。地方勤務の場合は若干低くなる可能性があります。

勤務時間は原則として、月曜日から金曜日までの週5日制で、1日7時間45分勤務(週38時間45分)となっています。年次有給休暇は年間20日付与されます。

その他、育児休業制度や介護休暇制度なども充実しており、ワークライフバランスを保ちやすい環境が整っています。

よくある質問(FAQ)

Q1. 裁判所事務官の試験は難しいですか?

A1. 難易度は人それぞれの感じ方によって異なりますが、一般的な公務員試験と比べて特別難しいわけではありません。ただし、専門試験では法律科目が出題されるため、法律の基礎知識は必要です。また、倍率は年々下がってきており、令和5年度は全国平均で3.6倍でした。しっかりと対策を行えば、十分に合格可能な試験だと言えるでしょう。

Q2. 法学部以外の出身でも受験できますか?

A2. はい、受験できます。裁判所事務官の試験には学部の制限はありません。実際に、法学部以外の出身者も多く合格しています。ただし、専門試験で法律科目が出題されるため、法律の基礎知識は必要になります。独学や予備校などで対策を行えば、十分に合格可能です。

Q3. 裁判所事務官と家庭裁判所調査官は併願できますか?

A3. 残念ながら、裁判所事務官と家庭裁判所調査官は併願できません。これは、1次試験の日程が同じであるためです。ただし、裁判所事務官の総合職試験を受験する場合、「特例」を利用することで、一般職試験との併願が可能になります。

Q4. 試験対策はいつから始めればいいですか?

A4. できるだけ早く始めることをおすすめします。特に専門試験対策には時間がかかるため、最低でも半年から1年程度の準備期間が必要です。ただし、遅くとも試験の3ヶ月前からは集中的に勉強を始めましょう。基礎能力試験(教養試験)の対策は他の公務員試験と共通する部分が多いので、併願を考えている場合はより早めの対策開始がおすすめです。

Q5. 裁判所事務官から裁判所書記官になることはできますか?

A5. はい、可能です。裁判所事務官として一定期間勤務した後、裁判所職員総合研修所の入所試験に合格し、1~2年の研修を修了すると裁判所書記官に任官されます。多くの事務官が裁判所書記官を目指しており、キャリアアップの道が開かれています。

Q6. 転勤はありますか?

A6. はい、転勤はあります。ただし、基本的には採用された高等裁判所の管轄区域内での異動が中心となります。異動は概ね3年を目安に行われます。上位ポストに昇進するにつれて、管轄区域を超えた異動が行われることもありますが、家庭の事情などは考慮されるようです。

まとめ

裁判所事務官の採用試験について、試験日程、受験資格、採用予定数、試験内容、配点、過去の実施結果、初任給と待遇、よくある質問まで詳しく解説しました。

裁判所事務官は、日本の司法制度を支える重要な役割を担う職業です。法律に関する専門知識を活かしながら、公務員としての安定した待遇を得られる魅力的な職種と言えるでしょう。

近年は倍率も下がってきており、チャンスが広がっています。ただし、専門試験対策には時間がかかるので、早めの準備開始がおすすめです。また、面接の配点が高いので、筆記試験対策だけでなく、面接対策もしっかり行う必要があります。

法学部出身でなくても、しっかりと対策を行えば十分に合格可能です。裁判所で働くことに興味がある方は、ぜひチャレンジしてみてください。

皆さんの合格を心よりお祈りしています!頑張ってください!

追伸

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また、この記事を読んで公務員になりたいと思った方には、「公務員になるには【半年で安定を勝ち取るために今あなたがやるべきこと】」の記事が参考になるかと思います。

僕の元公務員としての経験や、現在のキャリアアドバイザーとしての知識をもとに書きました。

「将来が不安だなぁ…」と漠然と感じていた20代の僕を救い出してくれたのが公務員試験です。公務員試験への感謝の気持ちも込めて書いた記事です。

過去の僕と同じように将来に不安を感じている多くの方に、この記事が届くことを願っています。

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