こんにちは、予備校比較マニアのまさちゃんです。
今回は「通関士になるには」というテーマで、詳しく解説していきます。
「通関士ってどんな仕事なの?」
「年収はどのくらい?」
「試験は難しいの?」
「どうやったらなれるの?」
通関士に興味を持ったものの、こういった疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。
通関士は、将来性の高い国家資格として人気です。近年は輸出入申告件数が大幅に増加してきているため、関連業務を行う通関士の需要はどんどん高まっています。
ですがその一方で、2024年度の通関士試験の合格率はわずか12.4%。決して簡単な資格ではありません。
そこでこの記事では、通関士の仕事内容から年収、そして資格取得に必要な試験情報まで、徹底的に解説していきます。
この記事を読み終わる頃には、通関士についての理解が深まり、目指すべきかどうかの判断材料が得られているはずです。
それでは、内容に入っていきましょう!
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通関士とは?独占業務を持つ国家資格

通関士は、輸出入における通関手続きのプロフェッショナルです。
主に以下のような業務を担当します。
- 輸出入申告書類の作成と審査
- 関税額の確認と納付手続き
- 税関に対する各種申請や手続きの代理
- 輸出入に関する不服申し立ての代理
特に「通関書類の審査」と「通関書類への記名・捺印」は通関士にしかできない独占業務として法律で定められています。そのため、モノの輸出入には通関士の存在が不可欠です。
通関士になるためには、財務省が実施する国家試験「通関士試験」に合格し、通関業者に就職する必要があります。試験の受験資格に制限はなく、誰でもチャレンジできます。
しかし通関士試験は、2024年度の合格率がわずか12.4%という難関試験。合格するには本格的な試験対策が必要になってきます。
ですがその分、資格を取得できれば、安定した需要と将来性のある仕事に就くことができます。
通関士の主な仕事内容

もう少し具体的に通関士の仕事内容を見ていきましょう。
通関士の仕事は、物品の輸出入を円滑に進めるための様々な業務に及びます。
通関書類の作成とチェック
通関士の中心業務は、輸出入に必要な書類の作成とチェックです。
輸出入では、以下のような多くの書類が必要になります。
- 輸出入申告書
- 仕入書(インボイス)
- 船荷証券
- 保険料明細書
- その他許可証や承認証
これらの書類は法人や個人が自分で作成することも可能ですが、内容が複雑なため、多くの場合は通関士に依頼されます。
輸出入申告の代理業務
書類が整ったら、今度は税関への申告業務を行います。通関士は依頼人に代わって以下の業務を担当します。
- 輸出入の申告手続き
- 関税額の計算と納付
- 審査・検査への立ち会い
また、申告が却下された場合の不服申し立てや、税関に対する主張・陳述の代理も通関士の重要な業務です。
通関士の独占業務
通関士には、法律で定められた独占業務が2つあります。
- 通関書類の審査
- 通関書類への記名・捺印
これらの業務は通関士にしかできないため、輸出入を行う企業にとって通関士は必要不可欠な存在です。
つまり通関士は、輸出入に関わるすべての書類作成と手続きのエキスパートとして、国際貿易の重要な一翼を担っているというわけです。
通関士の年収と将来性

次は通関士の年収と将来性について、データを交えながら詳しく見ていきます。
平均年収と年収アップのポイント
厚生労働省が運営する職業情報提供サイト「jobtag」によると、通関士の全国平均年収は約551.4万円です。
この金額は勤務地や就職先によって大きく変動します。特に以下のような条件で働く場合は、年収1000万円以上も狙えます。
- 外資系企業での勤務
- 海外勤務
- 管理職への昇進
- 他の資格との組み合わせ
年収1,000万円を目指すのは簡単なことではありませんが、日本人の平均年収が400万円台であることを考えると、通関士は高収入の部類に入ると言えるでしょう。
需要と将来性
通関士の将来性が期待される理由は主に4つあります。
- 貿易業界で高い信頼性を持つ国家資格である
- 輸出入には必ず必要な職種である
- 担い手が少ない難関資格である
- AIでは代替が難しい判断業務が多い
特に近年はオンラインショッピングの国際化などで輸出入取引が増加傾向にあり、通関士の需要は今後も安定して見込めます。
活躍できる職場
通関士の主な就職先は以下の4つです。
通関業者
- 輸出入業務を専門的に扱う
- 最も一般的な就職先
- 通関業務のスペシャリストとして活躍
貿易会社・商社
- 輸出入業務の社内担当者として活躍
- 海外とのやり取りも多い
- 専門知識を活かした総合職として働ける
運送会社・航空会社・船舶会社
- 物流の専門家として活躍
- 国際貨物の取り扱いを担当
- 運送と通関の両方の知識を活かせる
倉庫会社
- 保管業務と通関業務を担当
- 物流全体の管理も行う
- 通関後の貨物管理のエキスパートとして活躍
このように通関士は様々な業界で必要とされており、自分の希望や適性に合わせて職場を選べるのも魅力です。
通関士試験の概要と合格率

では、通関士の資格を取得するには、どんな試験に合格する必要があるのでしょうか。
通関士試験は、財務省が主催する国家試験です。試験の詳細を見ていきましょう。
試験日程と実施要項
【試験日程】
- 試験日:例年10月の第1または第2日曜日
- 申込期間:例年7月下旬〜8月上旬
- 合格発表:例年11月中旬
【実施要項】
- 受験資格:制限なし(誰でも受験可能)
- 受験地:全国13都道府県で実施
- 受験料:3,000円(オンライン申込は2,900円)
試験科目と出題形式
試験は以下の3科目からなります。
【通関業法】(45点満点)
- 試験時間:50分
- 出題形式:語群選択式、選択式、択一式
- 合格基準点:27点以上
【関税法等】(60点満点)
- 試験時間:100分
- 出題形式:語群選択式、選択式、択一式
- 合格基準点:36点以上
【通関実務】(45点満点)
- 試験時間:100分
- 出題形式:選択式、択一式、計算式、申告書作成
- 合格基準点:27点以上
どの科目も合格基準点は満点の60%です。正確に言うと合格基準点は合格発表の日まで公表されていないのですが、基本的には例年この点数が基準です。
1科目でも基準点に満たないと不合格となります。満遍なく学習し、苦手分野を作らないようにしておく必要がありますね。
なお、この3科目の中で最難関と言われているのが通関実務です。申告書作成や計算問題なども出題されるため、入念に対策しておく必要があります。
近年の合格率と傾向
過去10年分の試験結果を見てみましょう。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2024年度 | 6,135人 | 759人 | 12.4% |
2023年度 | 6,332人 | 1,534人 | 24.2% |
2022年度 | 6,336人 | 1,212人 | 19.1% |
2021年度 | 6,961人 | 1,097人 | 15.8% |
2020年度 | 6,745人 | 1,140人 | 16.9% |
2019年度 | 6,388人 | 878人 | 13.7% |
2018年度 | 6,218人 | 905人 | 14.6% |
2017年度 | 6,535人 | 1,392人 | 21.3% |
2016年度 | 6,997人 | 688人 | 9.8% |
2015年度 | 7,578人 | 764人 | 10.1% |
例年の合格率は10〜20%前後で推移しています。低い年で9.8%、高い年で24.2%です。かなりばらつきがありますね。
通関士試験は合格基準点が決まっている「絶対評価」の試験なので、試験問題の難易度によって合格率が高くなったり低くなったりします。
問題が簡単な年は多くの方が合格基準点を超えるので合格率が高くなり、反対に問題が難しければ合格基準点を超える方が少ないので合格率が低くなる、といった具合です。
この記事を読んでくださっている皆さんが受験する年は、簡単な問題が出題されることを願っています。
なお、実務経験による科目免除制度もあります。
- 15年以上の実務経験
→2科目免除(関税法等、通関実務) - 5年以上の実務経験
→1科目免除(通関実務)
当然ですが科目免除を受けた人の方が合格率が高いです。最低でも5年以上の実務経験が必要なのでハードルは高いですが…
というわけで科目免除を受けない人の合格率は、上記の数字よりも少し低くなると思っておいてください。
まとめ|通関士を目指す方へ
この記事では通関士について詳しく解説してきました。最後に重要なポイントをまとめておきましょう。
【通関士のやりがい】
- 輸出入に不可欠な専門職
- 独占業務を持つ国家資格
- 国際貿易の重要な担い手
【収入と将来性】
- 全国平均年収は約551.4万円
- 外資系企業なら1000万円以上も
- 輸出入需要の増加で将来性あり
【試験情報】
- 年1回10月に実施
- 通関業法・関税法等・通関実務の3科目
- 3科目それぞれで60%以上の得点が必要
- 2024年度の合格率は12.4%
通関士試験は難関です。独学での合格も可能ではありますが、資格予備校の通信講座などを利用して対策するのがおすすめです。複雑な関税計算や申告書作成のコツなどを効率的に学ぶことができます。
また、通関士試験の試験日は例年10月ですが、そこで出題される問題は7月1日時点の法律で作成されます。法改正された論点は出題される可能性が高いのですが、この部分は過去問を解いただけでは対処しきれませんよね。この点も予備校講座を利用していれば逃さずキャッチアップできます。
通関士試験の予備校講座については、「通関士の予備校7校をガチ比較」の記事でまとめていますので、ぜひチェックしてみてください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
皆様が通関士試験に合格し、希望の職場で活躍できることを心より願っています。
がんばってください!
それでは。
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